メモリアル美央(ミオ)

 4月の終わりには我娘の命日がやってくる。精一杯気持ちを込めて何時もこの日

を迎えてやりたいと思っている。今思い出すのはこの子の小中学校時代であり、

今見ている子ども達と様々なことで想いが重なるのである。

 皆様へのお願いであるが、良い職業人であると同時に良い親であって欲しい。

 また、自分の子どものようによその子どもと関わり合って欲しい。

 一人調子に乗ってるようだが、娘の作文からそのことが伝わって来ないだろうか?

次に掲載するので、読んで欲しい。

   

      【美央の電話の声】

 娘の声が電話に録音されていました。多分これが一番最後の声かな?と思うのです。

 聞いて欲しくて、ここにセットしてあります。

    



   早く生まれた私          服部 美央



 わたしが生まれたのは昭和54年4月1日です。春のぽかぽかしたあたたかい

日だったそうです。

 急に春になったようなあかるくてやさしい光がまぶしかったそうです。8時3

4分私は17日も早く生まれてしまいました。お母さんは春休みまでとがんばっ

て学校へ行っていたので、休みになったとたんに生まれそうになって病院へいっ

たそうです。ちょうど私が生まれた時、お父さんとお兄ちゃんはひっこしの手伝

いにいっていて家にいませんでした。病院にきて初めて知ったので、おどろいた

そうです。私を見て、お兄ちゃんは喜んでバンザイバンザイといって喜んだそう

です。

 お父さんは「いちばんかわいかったよ。」とにこにこしながらお母さんにおし

えたそうです。お母さんはうれしくてなみだが出たそうです。かんごふさんがつ

れてくるのをずっとまっていたそうです。お母さんはおっぱいがたくさんでたの

で、むせながらのんだそうです。

 夜も自分のベッドでいっしょにねたので、生まれてからお母さんとずっといっ

しょでした。

 私はお兄ちゃんと同じようにあまりなかなくてすやすやねむるおとなしい子だ

ったので、みんながほっぺたをつっついたりしてなかせてよろこんでいたそうで

す。おなかにいた時はよくうごいていたけどおとなしいうごきだったので、女の

子だとしんじていたそうです。

 お父さんは「美央」という名前がきにいっていたけどいろいろまよってしまっ

て、さいごは私の顔を見ながら「やっぱり美央がいい。きっと心のやさしいいい

子になるよ」ときめたそうです。

 私は赤ちゃんの時からたいした病気もせず元気でした。よその人が話しかける

とはずかしそうにしていたけど、お兄ちゃんといっしょだとそれは喜んでキャー

キャー声をたてたといいます。だからお兄ちゃんといっしょにうつったしゃしん

がいっぱいあります。                    (4年生時)



           かもめのジョナサンを読んで     服部 美央  



  かもめのジョナサンは変わっている。食べるよりも飛ぶことが重要だと言う。

 それもいかに早く飛べるか、その実現にすべてをかけている。その結果、仲間外

れとなり、群れを追放され、それでも高速航行をあみだしていくという話なのです。

この本にあるかもめの飛んでいる写真はさわやかで、あっと言う間に読み進んでし

まったが、よく考えてみると写真の中にはジョナサンはいない。これがジョナサン

かなと思って見たりするが、早く飛ぶ方法を教える先生がかもめにいるはずがない

し、かもめが飛んでいる様子を写した普通の写真にあるはずがないのだから実は写

っていないです。このような現実離れの話を真実らしく細かに書いてある様子がす

ばらしい文章で感動させられました。しかし、その他にジョナサンを通して何かを

私たちに語りかけていると思うと理解しづらい面もあります。  全体を通してジョ

ナサンは「他の奴とは違うんだ。」と言うような発言をしています。 みんなと同

じく勉強をして、決まったコースを何となく進んで行く生き方ではなく、まったく

違った生き方があるんだ、しっかり練習して頑張るんだと言うような信念をもって

います。かもめにはかもめの生き方があるが、そんなものに満足していてはだめだ

と言うことなのでしょう。しかし、ジョナサンのように群れを追われては一部のか

もめしか生徒になってもらえません。また時速三百キロで飛ぶことは今までのチョ

ロチョロした飛び方の子かもめを避けられずに岩に激突したりもしていくのです。

そこで結論はどうなるのかここの読み取りができません。変わり者はいつの時代で

も嫌われ、危険な生活をしなくてはならないということになるのでしょうか。

 また、何となく他のかもめの集団からは嫌な眼で見られていくのだということも

分かるような気がします。


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