命を拾った婆ちゃんのこと
                          (くも膜下出血で2ヶ月入院、元気になりました。写真12,11,26)
      私の母である通称「婆ちゃん(72歳)」はくも膜下出血で昨年
    10月30日に意識を失って倒れた。救急車で病院まで駆けつけ
    る30分間に2度も頭の血管が切れたらしいという話で、結局、
    3カ所が破裂し、脳の中は血液でいっぱいだったという。
     頭骨を開けてクリップ止めし、集中治療室でしばらくして気が
    ついた時はホッとしたものの、出血の影響がどんな形で残るか
    観察が必要だと宣言された。全く意識を失った時間のことを覚え
    ていないので、目が覚めて自分の頭に布が巻き付けてあると、
    手ではぎ取ろうとしたらしい。2週間目には経過も良く、普通に
    なった…と喜んだのもつかの間、脳圧が上がってきて、意識や記憶が混乱してきた。
     そこで、脳内にたまる水分を集めて腸に流す管をつける手術をし、意識を元通りに戻すことがで
    きた。頭骨と皮膚の間には細い管がグルグルと回っているのが見える。レントゲンではサイボーグ
    人間のようにたくさんの人工物が頭の中に入れられているが、この世で一番脳内出血の心配がな
    い人間になったと言われている。入院中は意識が混濁し、同室の人と結婚式をしたり、妹の顔を
    忘れたり等々(今だから)笑い話がたくさんある。
     くも膜下出血に見まわれた人の生存は40%程度と言われている。救急車が早かったこと、手術
    がうまくいったこと、倒れた場所に家人が居て、連絡や体の安全の確保が出来たこと等があげられ
    る。「今年の紅葉はきれいだろう?」しみじみと秋の深まりを楽しんでいる。昨年は病院の窓の外も
    見ることが出来なかったからである。