夢を語ろう!(みなさんに期待すること)スバル展望台のこと 人生は五十年と言われていたものでしたが、医学や科学の進歩で、寿命は八十 数年になっています。今年治らない病気が来年は治るかもしれません。 脳死からの初の移植手術で心臓や腎臓がもう絶望的だった人も元気になってき たと言うニュースを知ると、毎日の変化に驚かされる、この頃です。 新しい時代は皆さんが支えるのです。3年前、話題になった天体望遠鏡「スバ ル」の話をします。 この望遠鏡は邪魔なものがない宇宙に造られたハッブル望遠鏡が直径5Mです から、これよりも更に大きく、直径8Mの鏡を持っているのです。こんなに大き な鏡が歪まないようにするために、後ろにつけた261本のロボットアームで常 に平になるようにコンピュータ制御されています。このことで世界最大の望遠鏡 が可能になったのです。この製作の主体は日本の三菱電機ですが、反射鏡は米国 のコーニング社、鏡の研磨機はドイツのシース社、ドームの製作はカナダのコー スト・スチール社というように世界の技術が手を組み合って最高を生み出したの です。もう一つはこの日本の望遠鏡はハワイのマウナケア山の頂上に設置されて いるから、邪魔な光もなくて、実に1500光年離れたオリオン星雲の姿も鮮や かに受け取ることができるのです。1500光年というのは今見た光は1500 年も前にそこから出た光がやっと届いたと言う遠くなのです。 このような科学の粋を全て集めて人類に役立つ事を調べようとする動きこそが 21世紀の人間の基本になると思います。また、このスバルのように全世界の国 を越えて宇宙の真理を極めようと人々が手をつなぐこと、それは科学だけではな く、アメリカの国に日本の望遠鏡を建設するような国を越えた協力があってはじ めてできることなのです。 21世紀を担う皆さんの課題はこのように国や人種などを越えて、全世界の人 間が協力し合って、これまでなし得なかった事業をやり遂げていくことです。 教室でいじめたり、集落で仲間外れにするなどと言う小さな世界でごたごたを やっている人間は時代から忘れられて行かなければなりません。 誰とでも仲間になって、より遠くの大きな人類の目標を目指して一人一人の力 を発揮していくことを皆さんに求めるのです。
毛利さんのこと 21世紀を支える皆さんには大きな課題があることを話します。 2000年の2月12日から22日までスペースシャトルに乗り込んで大きな仕事を された毛利さんの姿が象徴しています。 飛行時間は11日間。エンデバーは地球を181周しましたが、この間に毛利さん らは60mのアンテナを張り出して地球の立体地形を観測しました。 このデータは地球の人が住む地域の、実に95%を精密に調べたことになるそうで す。他にもたくさんの実験や調査をしましたが、全て地球環境に関することでした。 皆さんもご存知の通り、地球環境を守る活動、故郷を文化的に活性化すること が将来的にとても重要なことだと言われています。これは日本に限らず、大きく 言えば同じ目的で世界が動き始めていると理解できるでしょう。 これまで宇宙へロケットを飛ばすことは戦争に近い目的ばかりでした。しかし、 現在は人類の幸福や発展のために人種を越えて協力する時代となったのです。個 人として考えれば、全員が毛利さんのような国際的な人間になることを求められ ているのではないでしょうか。 毛利さんはあの複雑なエンデバーの乗組員でありながら、実にうまく機器を扱 い、宇宙から日本にもたくさんのメッセージを送ってきました。 エンデバーの中では国が違う人と英語で冗談まで言いながら、仕事をテキパキ と片づけていたのです。その姿は素晴らしい、これからの人だなあ…と考えさせ られたものです。 21世紀の中頃社会人となっている皆さんは、毛利さんのように英語も使えて生 活し、コンピュータ等の機器を使いこなしながら、世界の人々と共に地球環境を 考えて行くこととなります。 学校で新しく勉強することはたくさんありますが、努力さえすれば、皆さんの 将来を決定付ける、これらの基礎を身につけられる機会が十分与えられていると いう事です。これからの人間として学んで行く具体的な目標がよく分かるのでは ないでしょうか。 皆さんは英語やコンピュータを自分の道具として、自由に使える人間になって 行ってください。明日と言わず、今日から勉強しなくては行けないほど急ぐ世の 中となっています。 あのさわやかだった毛利さんのスピーチを思い出して話をまとめてみました。
「残された宝物」から ありふれた話ですが、イソップ童話「残された宝物」を紹介いたします。 働き者のお百姓さんには3人の怠け者の息子がおりました。いくら注意しても 遊んでばかりいて、少しも働こうとしません。息子達にまかせた葡萄の林は荒れ るばかりで葡萄の実がならないのです。そのうち病気になり寝込んでしましまし た。息子達を枕元に呼んで言いました。「私が死ぬ前に言い残す事がある。長い 間かかってわしがためた宝物を葡萄園の中に埋めておいた。明日から、めいめい 掘り返して探しなさい。探し当てた者にその宝を全部あげることにする。」そう 言って死んでしまったのです。 3人の息子達は葡萄園に行き、先を争って掘り返しました。見つかりません。 来る日も来る日の掘り返しながら、見つけたら美味しいご馳走をたらふく食べ たいなどと話していました。幾日も幾日もかかって、ついに全部掘り返しました が宝は見つかりません。3人はとうとう見つからなかったね…と顔を見合わせま した。けれども葡萄園はすみからすみまで綺麗に耕されたので、秋には見事な葡 萄がふさふさとなりました。息子の一人が見事な葡萄を見て言いました。 「僕はお父さんの言った宝物とはこの葡萄の実のことではないかと思うんだ。」 「これが宝物?」と聞きますと「それはね、お父さんが宝物を隠したと言って、 この畑を耕やさせ、葡萄が良く稔るようにさせたのではないか。僕らが怠けるの を止めて、精を出して働くようにとね…。」 「なるほど沢山の見事な葡萄を宝物として僕らに下さったと言うわけだね。」そ の日から、息子達はまるで生まれ変わったように働き者になりました。まもなく 三人はお金持ちになり、楽しく暮らすようになったということです。 最近、社会のトップに立つような人が間違いをやった事件が多く、困ったこと と考えます。薬害エイズ事件などは典型的ですね。 これは全て、誠実に努力するという最も大切なことを忘れた行為のなれの果て と言えます。 今の話のように、皆さんの将来を拓いていくものは、誠実で、努力を忘れない ことです。これは何時の世の中でも変わり有りません。 どうか皆さんのさらなる発展を祈ります。
クイズ番組を見ていて あまりこだわると逆に「ヘンだよ。」と言われるかも知れませんが、テレビを 見ていて気になることがあります。それは人気は高いのですが、有名人が解答す るクイズ番組の幾つかは問題も回答もいい加減なものが多い事です。答えもギャ グで答えたり、当てずっぽうなのですが、司会者も笑って認めるような雰囲気が 結構あります。 さて学校の授業は…というと、文化を追体験するなど、選りすぐられた内容が 中心ですから、このような捉え方では許される筈がありません。この大きな違い を子どもは気づいていないのです。むしろ憧れのスターがデタラメを言って皆を 笑わせているが、こういう姿を教室でも取り入れて行くと毎日が楽しく過ごせる のだろうな…と別の価値観を持ってしまいます。これは学校教育にとっては大き なマイナス要因です。 知らないことが分かったり、出来ないことが出来るようになること、それ自体 が喜びな筈です。これが学ぶ純粋な喜びとして子どもに備わっていて欲しいので す。いわゆる知的好奇心と称しています。人間として大切なことです。しかし、 子どもの悪い面として、「疲れた、面倒だ、面白くない」を多発し、無気力な様 相がよく見られることがあります。クイズ番組が直接影響しているとまでは言え ないにしても、このように学ぶ喜びをないがしろにしている世相と子どものもの の考え方との関係を心配しないではおれません。
「花咲き山」 話は、主人公のあやと山んばとの出会いから始まります。 あやは道に迷って山奥へ入ってしまったのですが、そこには一面、綺麗な花が 咲いていてびっくりしたのです。 山ん婆はこういいます。 「この花がなしてこんなに綺麗だか、なしてこうして咲くのだか、その訳を、 あや、お前は知らねえべ。それはこうした訳だしゃー。 この花はふもとの村の人間がやさしいことを一つすると一つ咲く。あや、お 前の足元に咲いている赤い花、それは、お前がきんの咲かせた花だ。」 あやは昨日、妹のそよが祭の着物を買ってくれと母を困らせた時、「おらは いらねえから、そよさ買ってやれ」と言ったからなのです。家が貧乏で二人に 祭着を買ってもらえないことを知っていたから、あやは我慢したのです。そう 言った時にこの赤い花が一つ咲いた。おっ母もどんなにか助かったことだろう。 「この花咲き山一面の花はみんなこうして咲いたんだ。つらいのを辛抱して、 自分がやりたいことをやらないで、涙いっぱい溜めて辛抱すると、そのやさし さと、けなげなさが、こうして花になって咲き出すのだ。花ばかりではねえ、 この山だって、この向こうの峰続きの山だって男がやさしいことをしたときに 生まれたんだ。やさしいことをすれば花が咲く。命をかけてすれば山が生まれ る。」------と山ん婆の声が耳に聞こえてきそうです。 後でまた、あやは一人で山にいったが、花咲き山は見つけられなかったので す。でも、ときどき、あやは「今、花咲き山でおらの花が咲いている。」と思 うことがあるのです。 自分ばかり、良い目をするのでなく、我慢をしたり、人のために働くことが 心に綺麗な花が咲くことを、あやは教えてくれました。 最近、社会のトップに立つような人が間違いをやった事件が多く、困ったこと と考えます。政治家の汚職事件などは典型的ですね。 これは全て、誠実に努力するという最も大切なことを忘れた行為のなれの果て と言えます。 今の話のように、皆さんの将来を拓いていくものは、誠実で、努力を忘れない ことです。これは何時の世の中でも変わり有りません。