子育てヒント集

 ここにはこれまで、原稿として書いたものを集めました。ちょっとした考え

方で大きな子どもに育てることができるのを放棄していませんか。様々な視点

からの論を紹介するつもりです。(初めの方が新しいモノです。)




     【家庭教育ヒント集13】 (大切にしたいもの) 先週の朝の随想、田中カツイさんの「餅巻きに加わった話」は考えさせられま した。  津川近くで棟上げ式に出くわし、子ども心を出してその餅巻きの恩恵にあずか ったのだそうです。  よそ者ですが、餅拾いで集まった近所の人々の中に快く入れてもらい、屋根か ら投げられた餅をたくさん手にして昔の喜びを思い出した。昔は家を建てるとい えば大事業で、その喜びを大人も子どもも皆分け合った。自分の喜びを人に知ら せる。一緒に喜び合うことが当然として行われていたが、いつの間にか無くなっ て来ている。  昔子どもは餅を家族のためにいっぱい拾って帰ったのに、今は小家族だから喜 んでくれる者もいない。喜びを分け合うことが出来なければ、相手の心を知るこ ともできない殺伐とした人間関係としかならないだろう。そんな内容でした。  次々に起こる凶悪事件。それは案外こんなことが欠けて来ている社会や家庭だ からかも知れません。     【家庭教育ヒント集12】     ブロークンウィンドーセオリー  先日、日報の窓欄にも書いてありました。誘導員の指示を無視して強引に通過し た車にはチャイルドシートに赤ちゃんが乗っていました。軽微なルール無視を平気 で行う大人をみて、この子はやがて自分の違法行為や他人の痛みを何とも思わない 子に育って行くのではないか…と悲しくなったそうです。  窓を割った状態で車を外に放置しておくと、人は罪の意識もなく、さらなる破壊 や略奪をしたという実験に基づいた理論があるとも紹介しています。  私も心の荒れた子どもが多い学校にいたことがありました。この時に同じ思いを し、たくさん学びました。必要なことは取り締まりではなく、壊れた箇所がないこ と、誰もが気持ちよいと感じる環境整備をすること、よい言葉遣いをして、よい行 いをみんなで大切にしていくことでなのです。  よいモデルは大人の生き様だと思うのです。     【家庭教育ヒント集11】      除雪作業のこと  金井町の町長が町の広報に書いておられた話から。( )内は要約。 (1月29日は大雪で、夕方車道を除雪した雪でいっぱいになった歩道を保護者が除 雪していた。仕事で疲れているのに子どものために一生懸命である。しかし親が除 雪をしてくれた事は聞いていても、その作業している姿を子どもは知らない。朝、 それが当然のように登校するのだろう。)  私はこのような雪に日になると決まって今はもうとうに死んだ父のことを思い出 す。  その頃は今よりもっと雪が多かった。もちろん自動車などない時代だったから除 雪車も無く、道路は深い雪に埋まっていた。  だから父たちは朝早く通学路をカンジキで道をつけた。そしてまた子どもたちが 学校へ登校する時には、その先頭に立ってノッシノッシと雪を踏んでくれたもので ある。私たちの村の習慣では次の子どものいる家の入り口まで道をつけ、お互いに それを繰り返して大きな道まで出ることになっていたので、相当な距離であった。  父はぶっきらぼうで頑固なところがあったが、この時ほど父の背中が大きく頼も しくそして身近な存在に感じられた事はない。  次の子どもの家まで来ると、「気を付けて行って来いよ」と言って、また雪道を 帰って行った。今でも雪が降るとそんな日の父の声と顔が懐かしく浮かぶ。大雪が 降る日は父の面影に会える日である。  今の子どもたちの親と子どものつながりをみていると何か上辺だけのような気が するのは私の誤解だろうか。(後略)     【家庭教育ヒント集10】    七百数十回も言われたこと…  皆さんも聞いているかもしれないが、FM新津という放送があります。  ここで以前話題にしていましたが、夏休みに母親が子どもに言った言葉…  1は「静かにしなさい!」が二百数十回。2は「あれするナ。これするナ」が同 じ位で「あとは勉強でもしなさい。」の3つ。  全部を含めて七百数十回もあったと、ある子どもの研究発表でした。  何処の家も似たような話かも知れません。これだけ命令されては人格をする形成 する間がないですよね…と論評されていました。  「4月からは…だよね。新学期は…○年生だね…。」と言う情報を与え、自分の 意志で決断させましょう。そして責任をとらせることが大切なのです。これからの 子どもを育てるのは(古いかもしれませんが)ここが重要です。  目標を定めさせ、やり遂げさせましょう。満足感をしっかりと味わいさせたいも のです。   【家庭教育ヒント集9】   「山の郵便配達」のこと 最近は中国映画に優れたものが多くあります。この山の郵便配達もそうでしょう。 皆様に紹介したくて書かせていただきました。  (あらすじ)  中国の湖南省に交通手段のない険しい山岳地帯を仕事場とする年老いた一人の郵便 配達がいました。手紙をリュックに入れ、山から山へと愛犬と共に2週間もかけて配 達して回るのです。  やがて定年退職の日が近づいて来ました。最後の配達の日に若い一人息子を連れて 行くのです。仕事を引き継ぐために。  美しい大自然の中を二人は黙って歩いて行くのですが、話し下手で家を留守がちに する父と心の隔たりのある息子は仕事を通してしだいに父の見方を変えて行くのです。  山里に住む人々の父親に対する尊敬や感謝の心情と純粋な心を肌で感じた息子はさ らに少数民族の美しい少女との出会いもあり、ついに初めて「父さん!」と呼ぶことが 出来たのです。この旅は父と息子、そして家族の「きずな」を取り戻す旅でもあったの です。  人が一生をかけてやる仕事とは何かも教えてくれる映画です。ビデオが出ていますの で、一緒に見ていただければ幸いです。   【家庭教育ヒント集8】 悪いことは悪いんだ  この写真を見てくれますか。いたずらするとしかられます。  へんですよね。「じゃあ、叱られなければいいの?」って話になります。  「危険だからいけない。」 「ひとに迷惑をかけるから いけない。」って、正面か ら教えることが大切なこと なのですが、ついつい他者 を持ち出す誤りをしてしま います。学校でも同じ事が あるので反省を込めて書い ております。  「悪いことは悪いことな んだよ。悪いことをしたら 自分の心が痛んでたまらない でしょう。」と語れば分かる子を育てたいと思っています。 (謝! これは趣味のページにも書かせてもらっております。)  【家庭教育ヒント集7】    デザイン情報を伝えること  都庁の最上階で夕日が美しいと眺めていたら、隣の親子の会話が耳に入った。  息子「曇っていて屈折率が大きいからぼんやりしているんだ。」母親「まあ あんたそんなことまで分かるのね。偉いねえ!」  いつの間にか心の表現が偏差値教育になってしまっていると、この会話に豊口さん (長岡造形大学長)は腹を立てられている。  美しいものへの感動が親子の語らいに少しもないからであろう。  コミュニケーションがなくなり、ひとは独善に走る。相手を拒否し、ものに込めら れたデザイン情報(豊かな気持ち)を伝えることが欠けてしまっていると指摘される のだ。       【家庭教育ヒント集6】    「ロシアの子どもたち」  ハバロフスクのダンスグループ「ラーダスチ」の公演にPTAから係わっていただい たことがあります。ホームスティさせたお母さんは「舞台の子どもたちはとても華や かで、どきどきする美しさですが、家でのつましい姿に教えられることばかりでした。」 と言われるのです。その一つを紹介しましょう。  子どもたちにケーキを買ってきた時のことでした。 「おやつに皆で食べてね。」とテーブルの上に並べ、しばらく後で行って見てビック リしたそうです。我が子たちは全部食べてしまって、寝転がっていたけれど、ロシアの 子どもたちはケーキの前でじっとしていました。  「どうしたの?」「お父さんお母さんが食べていないから食べられない。」と言うの だそうです。  「先生…顔から火が出るほど恥ずかしかったですよ。もうバカになっていた んですね。みんなで分けて一緒に楽しく食べるために美味しいモノがあるのですよ。  愛情ってそういうものだとやっと分かりました。」    【家庭教育ヒント集  5】   上手な誉め方を  わが子が満点を採ったら誉めてください。そして次に学級の皆は?と聞いてください。  皆も満点だったと子どもが言ったら「それは最高だね!」と一緒に喜べる親になって 欲しいのです。  「なんだ、他の子も満点か!じゃあ問題がやさしかったんだな?」などと言わないよ うに平素から担任と共同戦線を張っておいて欲しいのです。  「いいクラスなんだね!」「いい先生なんだね!」と言い合えることは、子ども自身 も「いい子になんだね」ということが分かってきます。もちろんその両親も「いい両親 なんだね」と思ってくれるわけです。  子どもは自分に自信がないと進んで物事に取り組みません。非行を起こした少年等は 自分が不幸な境遇で、だめな人間だと思うから非行文化に浸かり始めたと語っています。   【家庭教育ヒント集  4】  或お寺の掲示版に「昔は何もなかったが、何かがあった。今は何でもあるが、 何かがない。」と書かれていた。モノが豊富でも心が満たされないことを差していると 思われる。  懐古趣味と言われそうであるが、昔は子どもの部屋などはなかった。  夕食の終わったちゃぶ台に子どもは復習や予習のノートを広げたものである。落ち着 いて勉強できないと言えばそうかも知れないが、何を勉強しているか年寄りも一緒に眺 めてくれたものである。叱咤激励もされたのである。  子どもも、こんな難しいことを今勉強しているのだと親に見てもらって良い気持ちだ ったのである。家族の精神的なつながりや、支え合い等はこうして意図しなくても出来 ていたのだ。  子ども部屋が悪いというのではないが、家族関係から利用の仕方を決めておくことが 大切であろう。  中・高校生が閉じこもった自室から「出会い系…」にケータイで接続する犯罪も報告 されている。  米国の一般家庭では子どもたちが自室にこもることは奨励されない。  自室のテレビを見るときはドアを開け放しておくようにしつけられる。個室やマイT V、マイ電話の先進国の、それなりの「密室化防御策」なのかも知れない。                     … 後半、島村麻里(フリーライター)氏談より…     【家庭教育ヒント集 3】          コンビニって良いですか?   コンビニ利用は身軽な若者の象徴とか言われています。昼夜を問わない行動や、フィ ーリングからの買い物ゆえでしょう。コンビニが悪いという訳ではないですが、ここに子 育てが関わってくるとちょっと問題ではないでしょうか。  夜12時頃に買い物に行っている親子を見たことがあります。大人は便利かもしれません が、生活のリズムを崩された子どもの体調は、精神は後に尾を引きます。  子どもにとっても清涼飲料水やスナック菓子類を深夜口にすることは、健康的ではあり ません。  理想は夕食時みんな揃って「やっぱり我家のみそ汁は美味しいね!」というような会話 をすることが子育ての妙薬だと思います。優しい人間性はこのようにして築かれるのです。  夜には本の読み聞かせをしてもらいながら親の愛情を感じて眠りにつくような時間が子 どもには必要です。高学年は親と一緒に読書する時間が持てたら最高です。  腹が減ったらコンビニ弁当を…とか、喉が乾いたら缶ジュースを…と言う安易な消費生 活に慣れてしまうと、人の愛情や感性が分からないまま大人になってしまいそうでたまり ません。  お金で何時でも何でも手に入れられる事に麻痺してしまうのは良くない事です。  規律ある生活をさせて自然の変化や人との関わり合いをもっと理解させる必要があると 思います。子どもたちには赤坂地区に生まれた幸せを感じて、この地区で育った誇りをも って気高く生活して行って欲しいのです。     【家庭教育ヒント集 2】        知的好奇心のこと  学習の様子を見ていると、子どもの「食いつき方」は千差万別です。  我を忘れて取り組んで行こうとする子、あまり興味を示さない子と大きな差があること はかくせません。  もちろん、前者が結果として大きな成果を得ていることは是非もない事です。  この差は生活の中で育まれた好奇心の度合いにあるのではないでしょうか。  学習に関しても、この知的好奇心の差が大きな違いを生む筈です。  よく、「馬を川に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない。」 などと言います。  「こんな不思議がある。」とか「どうしてあんな事件が起こったのだろう。」とか、面 白そうな材料から子どもの興味をかき立てるのが授業の導入です。  そして、ここから観察したり、調べたりする学習活動が始まるわけですが、  その取り組み方は子どもによって随分と違うのです。各馬(失礼)が進んで水を飲んで くれるかどうか…が問題なのです。  今、知的好奇心を高める事はあまり話題にはなりませんが、学習を進める大きなエネルギ ーです。そしてそのエネルギーを増やすには次のことが大きな要素になると考えます。  ・ ニュースは解説を加えながら子どもに語ってやります。新しいことを知る事がどんな   に素晴らしく楽しいことか次第に分かってくる筈です。  ・ 良いテレビ番組を選んで一緒に見させます。温かい家庭、知らない動物のことなど   「分かってよかったね。」と言う雰囲気が大切です。    「生き物地球紀行」などは自然の素晴らしさを伝え、子どもの世界を広   げます。逆に悪い番組には注意してください。  ・ 雑誌・新聞などからたくさんの新しい情報を仕入れ、子どもに知らせたり、子ども   の質問に正対してください。    やっぱり、鉄は熱いうちに打たなくては…です。     【家庭教育ヒント集1】 高度情報社会、高速交通網などと、世の中が高速になればなるほど昔から家庭教育とし て大切だと言われたことが疎んじられているのではないでしょうか。  再度子育ての論議を深めていただければありがたいと思い、これまで話題になった文章 をこれから時々紹介させていただきます。(まずはその1)  「子どもを不幸にしたいなら何でも買ってあげればいい。」   (家庭教育ノート 文部科学省発行より)  確かルソーの「エミール」の中にある一節からと思います。エミールは1760年に書き上 げられたと言われています。240年経ても全く変わらない真理です。  これを引用したのはやがて迎える年末・年始の休みと、クリスマスやお正月行事に係わっ ての心配事からです。  昨年のお年玉を合計すると○万円にもなったと言う子がいます。  プレゼントしてくれた方の深い愛情や金銭を得るまでの苦労などはなかなか子どもに伝わ らずに金額だけが一人歩きすることが気がかりです。 働く事もなく、我慢することもなく欲しいモノが簡単に手に入ると、子どもはやたらとモ ノを欲しがり、自分の気持ちを押さえられなくなって来ます。  酷いのはお年玉を与えた人を金額で評価するような考えも出てきます。  お金が労働の報酬であることや、その使い方をじっくりと考えさせる事が大切です。  またお金やモノではなく、心や愛情をたくさん注いで親子の関係を深めることも大切な時 期でもあります。