読書について(雑学)

                                                        押し入れのちよ
                                                     荻原 浩 著 講談社文庫 \560
                                                                    
                                                    今流行のホラーものかな?萩原さんの
                                                  本は電子ブックなどでも有名だ。
                                                幾つもの短編が集まったものだが、
                                    特にこのちよの話は温かい。ちよが
                                  何故幽霊になったのか?気を使うちよ
                                  が可愛い。私もカルピスソータとビー
                                  フジャーキーでちよをおびき寄せよう
                                    か…などと本気で思ってしまう。
                                 文庫本 司馬遼太郎の作品…
               
兎に角何でも良いから読むと引き込
まれます…と言いたい。 単なる歴史
小説じゃないですね。どこにも司馬の
人間臭さがたっぷりと出てくる。
 例えば、「殉死」の乃木希典などは
全く無能の指揮官で、策もなく5万も
の兵隊の屍の山を作っている。しかし、
世の中は後生にまで称え続けている
が、一対そのメカニズムは何なのだろ
う…と書き始めている。
 分かる分かる。有能、無能ではなくて
人材の需要と供給の間ではまる人、は
じき出される人…世の宿命なのか…と
                   海軍 電信兵戦記 光人社NF文庫\657
                                    
                      この作者は大沢明彦といって、ただの初年兵として
                                 従軍し、様々なことがあったのを、昭和56年に還暦
                                 まで生きてきたから、残して置きたくなって、振り
                                 返って書いたというものです。戦争のむごさもさる
                                 ことながら、60になったから書いた…ことに興味が
                                 湧いたので、一気に読み終えました。
                                             
                    白い船」 文:早坂真紀 
                    絵:山口はるみ 新潮社 \1,200
                   
〔塩津の小さな学校であった本当の話が映画に
なった。先生の目を盗んで沖を通る白い船を児
童が見つける。いいなあ!大きいんだろうな。
乗りたいなあ…と言う少年の気持ちに船長さん
等が答えてくれる。乗せてやろうという計画を
爺ちゃん達がサポートする。そして夏休みにい
よいよ乗船。少年達は舞い上がった。〕

 あらすじはこんなところだが、この本は映画
の心髄をメルヘンチックに小さな本に凝縮した。
 そして山口さんの美しい絵も語りかけてくる。
 小さな学校に赴任した静香先生の葛藤。興味
あるものへのめり込む少年の姿。温かい塩津の
地域と人情。船員さんの細かな配慮。等々…
。全てが織りなす協奏曲がここにある。
 教師とは、地域とは、学校とは…と論ずる方
もこれを読んだら涙の中で、正解が得られるで
あろう。皆様にお薦めしたい本だ
                   
                    アレックス・シアラー 著
                                          (金子端人 訳、ダイヤモンド
                                                         社 \1,300)
                                           この作者の本は、読んだこと
                                               があるかも知れません。
                              「青空のむこう」や「13ヶ月
                                 と13週と13日と満月の夜」
                                              「チョコレートアンダーグラン
                                              ド」などはベストセラーです。
 お父さんと一緒にいたいのに、またおじいち
ゃんとおばあちゃんの家にあずけられる。長〜
いお別れだ。しかもお父さんは二人のために仕
事を辞める最後の乗船だ。
 双子の兄弟は夏休みだから、お父さんの船に
潜り込んじゃえ!っと、二人の冒険が始まる。
 お父さんに見つかってはいけない、でもお父
さんの働く姿は感動だ。 たくさんダイアモン
ドを持っているお婆さんが、残された時間を美
しい夕日を眺めることに感動している。鼻持ち
ならないミセスワトスンは飲んだくれミスター
ワトスンが海賊に向かって行く姿に態度を変え
る…等々人間って素晴らしい。人を信じ合うこ
とは美しいと

  作者はイギリスの放送作家として特に有名で
す。この本は子ども向けとして書かれてますが、
作者の言いたいことがたくさん織り込まれてい
ます。
 海洋冒険小説とでも言えるのでしょうが、こ
こにサスペンスが加わって、作者独特のユーモ
アもふんだんに混じった、楽しい小説なのです。
モノに埋もれて幸せを錯覚している私たちに、
もっとハッピーな事がたくさんあることを教え
てくれる「さわやか物語」です。
                              
マーリー 
世界一おバカな犬が教えてくれたこと
ジョン・グローガン 著 古草秀子 訳 早川書房  \1,429 

 頭が良いと言われるラブドールレトリーバーを子育ての練習にと
選んだ新婚カップルの話であるが…
 全米200万部突破のベストセラー。日本も大騒ぎ…
 
 * いち早くこのマーリーのおバカで愛すべき性格に惚れ込み
「マーリー」を艇名とした私…ぜひ詳細は「ヨット」のコーナー
でご紹介を。
                       世にも美しい数学
                                  
                                             生徒に知って欲しい話題だ。ちくまプリマー
                                              書に上の題名の本がある。
                                             著者は藤原正彦、小川洋子。小川は「博士の
                                            愛した数式」という本を書いているが、それは
                        数学者の藤原との出会いから始まっている。
                       その焼き直し、いや、縮小版と理解したら良い
                      のではなかろうか。
                      ラチラっと話題に出来れば、数学好きが増えるは
                      ずだろう…と、安易に思うのである。
                       まあ、さわりを紹介しよう。
                    (話題1)ノーベル数学賞がない理由。
                     ノーベルは女性数学者ソーニャに恋をするが、
                    その恋敵にミラッタク・レフラーという素晴らし
                    い数学者が現れたからである。
                     話題2)220と284は「友愛数」である。220は自
                    身を除いた約数は1,2,4,5,10,11,20,22,44,55,110
                    で全部たすと284になる。
                     284 の方は1,2,4,71,142 で全部たすと220 にな
                    るのだ。
                    こんな数の関係が他にあるのかどうか、まだ証明
                    できない。
                    (話題3)約数を全部たすと自分の数になる数を
                    「完全数」と言う。6は約数が1,2,3 だから、
                     1+2+3=6 その次は 28 だ。
                     28 の約数は1,2,4,7,14 だから、1+2+4+7+14=
                    28 では、この28の次の完全数は幾つかと言えば、
                    496 だ。その次は? 8桁だという。
                     この完全数は連続した自然数の
                     和で表せるというおまけもある。
                       6=1+2+3 
                       28=1+2+3+4+5+6+7
                                   と言う具合だ。
                                
                      (話題4)連続した奇数の和これ
                      を「四角数」と言い、必ずある数
                      の2乗となっている。
                       例えば 1+3=4=2x2, 1+3+5=9=3x3,
                        1+3+5+7=16=4x4 
                       と言う具合だ。
                                 さて、ここから後は皆さんで読んでいた
                                                     だきたい。


  左の本を読む前にこちらの本を
読むことをおすすめします。
 数学が嫌いな人、好きな人…
 そのどちらもが、涙を流しながら
なぜか感動に心が震える本とでも
言えるものです。

 主人公は家政婦。記憶が80分し
かもたない障害のある数学者の博
士。そして家政婦の息子、ルート。
 タイガースのファンとして何か通じ
るところもありそう。
 あなたの靴のサイズは?そうか〜
良い数字だ。」奇妙な初対面の挨拶
から、家政婦の一日が始まる。
 老齢な汚れた博士の偏屈で、失
礼な応対にも愛情が伝わってくる。
 この本は一体どんなジャンルに入
れたら良いのだろう…考えてしまう。
 読み始めたら、止まらない。
 人としての大切さが何処かから沸
いて来る本とでも言えば良いのでし
ょうか。
 読んでいるうちに涙もポロポロと流
れてくる…いいなあ数学って…
 新潮文庫 \438-
                              
「夏の庭」湯本香樹美著 \400 新潮文庫

小6男子3人の一夏の体験とでも言えば良いだろうか。
一人の少年の婆ちゃんが亡くなった。人が死ぬことを全
く経験したことのない少年たちは近所の一人暮らしの老
人が死ぬのを見張ることにしたのだった。毎日見張って
いるが、実は逆に見張られていたのかも…
 ふとしたきっかけで、少年たちは爺ちゃんの家に上がり
込むことになり、交流が始まる。
 少年たちは生活力を高め、爺ちゃんも見違えるように元
気を取り戻す。庭にはコスモスを植え、ペンキを塗った家
は美しくなった。戦争で帰って来ても逢えないで居た、爺
ちゃんの奥さんだった人に少年は逢ってもくる。
 しかし…初めに考えた通りになった…少年たちが爺ちゃ
んを見送る日がやってくる。
          
「女は男のどこを見ているか」
岩月謙司 著 ちくま新書
 \720

女は男がSexだけに
自分を必要としたのか
どうかを見抜こうとして
いる。だから、一緒に
行動して、本当に気持
いいんだね…と言う姿
勢がないとね。
良い女程、陰徳を積ん
男の愛を気持ちいいと
感じるのです。
 ハハ、当たり前かも
知れないが、こうして
書かれるとね。
 良い男になるように
読んでください、皆さん
「バカの壁」
養老孟司 著 新潮新書
 \680
うんうん、そうなんだなあ、話せば分
かるなんて幻想なんだな。この本を読
み進めると気が楽になるばかりである。
 その人の器量で分かることの深さや
内容が違う、まったく別なこととして
伝わっていることもあるというもので
ある。このことがよく分かる本である。
 しかし、だから壁を越えて理解する
ような努力も必要なことを求められる
のでしょうね。
 自分の歳、経験からはその壁を見据
えなくてはならないのでしょうね。
 そんなことは書いてないですが…話
していて「ああ、この人とは高い壁が
あるなあ…」と思うことは良くあります
                     
 「世界がもし100人の村だったら」
池田香代子再話 C.D.ラミス対訳
  マガジンハウス  ¥838
 世界の人口は63億人を越えますが、これを題名通り
100人の村に例えてみると…見えてくるものがいっぱい
あります。
 男と女は同じ人数ではないのですね。人種別にするとア
ジア人が半分以上なんですね。
 で、世界の富の59%をアメリカ人6人でもっているな
んて…ちょっと不公平かな…と思って見ていくと、色々出
てきます。50人が栄養失調で苦しみ…などと…
 本はクーピーで書いたような挿絵で、子どもには最高で
すが、一緒に読み進んでも受け取り方は違っています。
 大人には厳しい環境や人種に関する問題が投げかけられ
てきます。この本はインターネットによるメールの文章が
転送され続けるうちに出来上がったものと考えられます。
 筆者は2001年2月に亡くなった環境学者ドネラ・メ
ドウズさんと推測されていますが、それを筆者が調整し、
単行本化したものなのです。
 先生方と話した感想の一つに「ここに書かれている英語
位は分かるようになりたいね。」というのがあります。
 ほんとに…
          中学生という年代についてとかく言われていますが、私は素晴らしい時であ
               ると思っています。皆さんは今人生の中で最も感じやすく、最も輝かしい時期
               を過ごしているのです。人の立場が良く分かり、体も頭も鍛えれば鍛えただけ
               の成果があるのです。精一杯やって、素晴らしい思い出を創ろうではありませ
               んか。中学生がこんなスゴイことができるのだと言う例を今一つ紹介します。
                三好万季さんです。彼女は例の毒入りカレー事件があったときに、すぐ変だ
              なっと思って調べ始めたのです。保健所や報道機関が間違った方向を向いて
                いるときに、どんどん真実に迫って行きました。その一部始終を論文にして文
                芸春秋社に持ち込みました。そして出版された本が、「四人はなぜ死んだの
                か」です。この本は本屋さんの店頭に並んでいますし、ベストセラーになって
                います。毎日新聞の書評を次に添付します。(以下、新聞記事 日高 普評)
               毒入りカレー事件の第一報はカレーを食べた多くの人が食中毒症状を訴え、
                 保健所は集団食中毒とみて原因の特定を急いでいるというものであった。
               このニュースを見て、著者、つまり東京のある女子中学生は不思議に思った。
                早速食中毒の原因をかたっぱしから調べてみることにした。そこで、東京都
                立衛生研究所のホームページにアクセスしてみた。その結果、この保健所の
                判断は間違っていると考えざるを得なかった。
                著者は食中毒ではなしに毒物のに違いないと考える。毒物ならまず吐かせ
                ることだ。著者と一つ違いの少女、鳥居幸さんは事件で朦朧とした状態で病
                院へ担ぎ込まれた後、両親は引き取ってもよいといわれて喜んで帰宅した。
              夜が明けてみると容体は急変し、あっという間に亡くなってしまったのだという。
               ほぼ同年と言ってもよい少女の無惨な死、著者を駆り立てて文章を書かせた
               ものの一番底にあるものは、この少女への鎮魂の想いであろう。
                田の患者のいる病院の院長は電話で保健所と話したとき、「不安を感じなが
              も、食中毒の治療を続けるしかなかった」という。変だとは思ったのだが「言い
              出すことが出来なかった」ともいっている。事件の翌日、死者の解剖で青酸が
               検出された。しかし著者は、死者が死ぬときの表情からして青酸ではないと考
               える。だがひとたび青酸が発表されるとマスコミは青酸一色になった。こうなっ
               ても著者は釈然としない。青酸で死ぬとすれば4時間までで、これを過ぎると
              助かる。ところが事件で亡くなった方に、9時間たってから亡くなった方がいる。
              うして砒素にたどり着いたのは、事件からやっと9日たったときだ。
                事件の被害者が入院した聖マリアンナ医大の教授が、患者の尿から多量の
               砒素化合物が検出されたことを発表した。
               日本の医療体制がしっかり機能していれば、カレーに毒物を入れたものいた
              としても病人は出ても死者は出なかったのではないか。4人はなぜ死んだのか。
               中学生は、夏休みの宿題で以上の趣旨の文章を書いた。原稿で122枚に
              ったという。その文章を家族の勧めで、何の予約もなしに文春の受付に預けた。
 「四人はなぜ死んだのか」 三好 万季 著 文芸春秋 \1,143-

 
それを読んだ文春で問題になったのは、これが本当に中学生の書いたもの
だろうかということだったという。そして、「文藝春秋」の(圧縮されて)発表された。
本書は「文藝春秋」に発表された論文に加筆されたもので、加筆したのは著
者で他の人の加筆はない。
 評者が「文藝春秋」ではじめの論文を読んだときの興奮は忘れがたい。中学
生であることはわかっていたが、論旨の進め方を少しも踏み外すことなく、着実
に一歩一歩進んで行く。文春の編集部では百枚以上の原稿に誤字脱字がまっ
たくないことに注目したようだが、言葉づかいもおかしいところがない。そして論
文の歩みはあくまでも理論的実証的であって、初めて大論文に取り組んだとき
にありがちな高ぶりやうわずったところが感じられないことも感服のほかはない。
 この論文について友人たち話し合っていたとき「いまどきの若者」も見捨てた
ものでないねという意見が出た。本当にそうなら、つまり著者のような存在が「い
まどきの若者」の中でまったく例外的な、まったく孤立した存在でないならどんな
に心強いことであろう。

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